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執筆者の写真Sami

XS・TX エンジンクロスプレーン化

更新日:2019年12月13日


1997年・1998年。パリ~ダカールラリー。「XTZ850TRX」でヤマハが連覇を果たした。

この時にヤマハが開発し、採用したエンジンが直列二気筒270度クランク。

「砂漠でトラクションを得やすい特性」というライダーの要求から生まれたこのエンジン。

現在も、「XT1200Z SuperTenera」や「MT-07」に受け継がれ、近年では、700cc以上の中~大排気量オートバイ用直列2気筒エンジンの主流となっている。

このエンジンをXSでも試せないか。そんな試みから、「XS エンジン270度クランク化」計画への挑戦が始まった。

そもそもクランクって?

まず、並列二気筒のXSのエンジンは、360度クランクである。

エンジンは、①吸気(180度)→②圧縮(360度)→③燃焼(540度)→④排気(720度)というピストンが二往復、ピストンが付いてるクランクが二回転(720度)で1セットとなり走っている。

クランク角を示す○○度というのは、エンジンの工程で、1つ目が③燃焼(540度)に来た時にもう一つが何度にいるかを角度で表している。

つまり、360度クランク並列2気筒の場合、1つが③燃焼(540度)の時、もう一つは①吸気(180度)をしている。540-180=360だから360度クランク。

他に、代表的なものとして、180度クランク。そして、270度クランクがあります。

277度クランク挑戦のきっかけ

それは、レースへの参戦だ。

レース初心者の自分が、1978年式のXSで、勝てるレーサーを作るには、どうすれば良いか。この問いが270度クランク化構想のきっかけだった。

XSを270度化するのに考えた結果、277度という角度にすることが、整備性やコストの面からも最適であるという考えにたどり着き、レーサーを277度クランクエンジンで作成。

そして、最初のレース。

クランク角は触らず、ハイパワーフルチューンでレースに参戦。レースということで、ハイパワーを求めてチューニングしてみたものの、納得のいく走りにはならなかった。

2回目のレース

クランク角を277度に改造。277度クランクエンジンのXSでサーキットを思いっきり攻めてみた。雨にもかかわらず。

すると、予想通り、いや、予想以上に、自分の思い描いた動きに近いドライビングが容易にでき、思い切って走ることができた。その結果、なかなかの好タイムを出すことができ、2位という成績をおさめることができた。

このレースで、277度クランクエンジンの素晴らしさを実感することとなった。

そもそもヤマハが、パリ~ダカールラリーで、270度クランク化にたどり着いた時に目指していたのが、「トルクのムラをなくしてリニアなエンジン特性を引き出す」ということ。

277度化したことで、トルクムラは軽減され、カーブのときでも、直線の高速でも、安定的に走れるようになった。

また、カーブで注意しなければならない横すべりだが、しっかりと地面をグリップしている感覚があり、安心して、カーブを回ることができたように感じた。277度という不均等な爆発によるバランスの悪さが、グリップをうみ、運転しやすくなったのではないか。

レースということで、当初は、ハイパワーばかり求めていたが、それだけではいけないということが分かった。初心者の自分が、レースでまずまずの成績を残せたのは、安定的で、扱いやすいマシーンを生んだ277度クランクエンジンのお陰といっても過言ではない。

277度クランクエンジンを作成してみて

レーサーを作成するというきっかけで、277度クランク化に取り組んでみたが、サーキットを走ってみた結果。このエンジンにすることで、高速でも、低速でも、カーブでも直線でも扱いやすく、運転のしやすい、安定的なバイクになったことを実感した。

これは、サーキットだけでなく、一般道を走るXSでも体感できることであり、ぜひ体感してもらいたい。

XSエンジン277度クランク(クロスプレーン)化

自分の経験から、ぜひお勧めしたい、277度クランク化。公道でも体感してもらえるよう、準備が整いましたので、加工依頼受付いたします。

カムもストックからレーシングまで、ピストンも選べます。ご希望の用途をうかがった上で最適な組み合わせをご提案いたしますので、詳しくは、お問合せ下さい。

費用は、30万円~。エンジンオーバーホールの際は、エンジンクロスプレーン化(277度化)も一緒にご検討ください。

エンジンクロスプレーン化対象車 

ヤマハXS1・XS650・XS650-E・TX650・XS650スペシャル

後日、ブログでも詳しく紹介させていただきます。


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